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鉄下駄とは?
鉄下駄とは、読んで字の如し、鉄でできた重い下駄のことです。
その昔、漫画などで武道家が足腰の鍛錬のため鉄でできた下駄を履いて日夜修行をした....との例えで用いられる造語です。
しかし、このブログは武道家を目指すかたのためのブログではなく、または下駄を紹介するブログでもありません。
れっきとしたロードバイクブログです....笑。
で、ですよ、
じゃぁ、ロードバイク界の鉄下駄ってなによ!?。
というあたりを本記事では解説していきますよ~。
鉄下駄。
ローディーには言わずと知れた造語となっています。
最初にこの呼び方をしたのは一体誰!?なんでしょうね?.....。
かなり神がかった呼び名とも思えるのは管理人だけでしょうか笑。
今回記事では鉄下駄の正体とその全容に迫ります。
鉄下駄 = 重いホイール
ロードバイク界の鉄下駄とは、ロードバイクの完成車に最初から付いてくる、いわゆる 重いホイール のことです。
もちろん、バラで購入することも可能。普通に市場に出回っている製品です。
ビギナーの方のために、もっとわかりやすく言います。
ロードバイク界では 重いホイール=使い物にならないダメホイール 的な解釈が常識となっているので、鉄下駄とは言わば、ダメなホイールを罵(ののし)る言葉というわけです。
通常、20万~30万円クラスの初心者~中級者向けの完成車に付いてくるホイールは、ホイール単体で前後セット約1万円~2万円程度のいわゆる重いホイールが付いてきます。
完成車はコストを抑えて出来るだけ消費者にリーズナブルな価格で提供しなければ売れないので、フレーム、コンポーネント以外のパーツについてはある程度妥協しなければ、全体の価格を抑えられません。
バイク全体の価格を抑えられなければ売れ筋モデルは売れません。
そのコストを抑えるべき最初に犠牲にならざるを得ないパーツがホイールとなるわけです。
一言でホイールと言ってもメーカーや種類、使用する素材もさまざまです。
用途によってホイールの性質も違うし、素材によって値段も変わります
つまり、走るシチューエーションや出場する競技によっても使用するホイール選びが変わってくるということです。
ヒルクライムだったら軽さにこだわらなければならないし、TTやトライアスロン・トラック競技であれば空気抵抗を下げるためにディープリムのホイールが必要になります。
各ロードバイクメーカーの売れ筋の完成車の場合、購入層はビギナーであることが多いため、価格面のみならず耐久性も重視したパーツのチョイスが好まれるのも事実です。
ホイールは高級になればなるほど、お値段も張りホイール自体の扱いも難しくなってきます。
なので、完成車の本体価格は抑えておくからホイールは後から好みのものに変えてね~というのがメーカーの本音でしょう。
ホイールはバイク単体並みに選ぶのが難しい
実はホイールってとても奥が深いパーツの一つでもあります。
機材にこだわるとすれば、ロードバイク購入後、第一にカスタマイズとして選択するケースも多いほど。
一般的に鉄下駄と言われる重いホイール単体の重さは、前後セットで約1.9kg~2kgほどです。
実際にはこれにタイヤとチューブ、カセットスプロケットの重量もプラスされます。
ホイールはホイールそのものが回転することで、ペダルから受けたパワーを回転運動に変えて路面に伝えて動力を得ます。
事実上、ホイールは軽いほうが脚へのダメージが軽減されます。長距離であればあるほど、ヒルクライムであれば獲得標高と斜度によりホイールが軽いほうが有利とされます。
しかしながら、平坦路となると諸事情がちと変わってきます。
確かに軽い方が有利とされる一方で、それなりに重量のあるホイール、特にディープリムホイールであれば、漕ぎ出しこそ重いもののいざ走り出してしまうと慣性が働きだし速度維持が楽になるというメリットもあります。
また、タイヤやチューブ、カセットスプロケットの銘柄やグレードによっても、それなりの重量差が生じます。
これらを加味した重量差を比較するのはちょっと無理ゲーに近いものがありますので、重量を比較するのであればホイール単体で計測したほうが良いように思います。
実は過去にこのブログでカンパニョーロのゾンダと鉄下駄代表SHIMANOのWH-RS010を比較した記事があります。
詳しくは上記記事を見てほしいのですが、時間のない方のために上記記事を書いたときに計測した内容を記します。
下記表でまとめてみす。
❏ホイールのみの重量で比較
<ホイール単体比較> | シマノ WH-RS010(メーカー公表値) | カンパニョーロZONDA C17(実測値) |
フロント | 818g | 655g |
リヤ | 1,102g | 919g |
計 | 1,920g | 1,574g |
ホイールのみの重量差を純粋に比較してみると、実に346gもの重量差があることが分かります。
「えっ、たった346g....」って思うかも知れません。
実際のところ、RS010の実売価格は15,000円前後、ゾンダは海外通販などでは40,000を切っています。
その価格差25,000円。
将来的に鉄下駄を卒業して仮にゾンダを選んだとして、350gもの重量を減らすためにホイールに40,000円を投資するわけです。
ホイールの重量400gを軽くする....というのは、金額的にもそれほど大きくはなりません。
ゾンダの1,600g弱で約60,000円と考えると、それほど大きな出費ではありません。
しかし、この価格帯(重さ)から約100g削るためには、各メーカーの熾烈な技術力争いや価格争いが繰り広げられるのです。
実際にはホイール単体の前後重量で1,500gを切る辺りの価格帯は、アルミの最高峰モデルかカーボンのエントリー&ミドルグレードとなるため、お値段も150,000前後というのが相場です。
価格と性能のバランス
管理人が鉄下駄からゾンダに乗り換えてみればわかることなのですが、この350gの重量の差を体感したときは誰しも感動するはずです。
実際にこの重量差を聞いて「そんなもんなの?」って思うかもしれません。
しかし、例えばアルミ製軽量ホイールで有名なフルクラムのレーシングゼロは前後重量で約1,420g、価格は国内相場で約120,000円~160,000円。海外通販 では約80,000円。
一方、前項で例に上げたカンパのゾンダでは、前後重量で1,570g、実勢価格は2020年現在で国内相場は約60,000円、海外通販 では約40,000を切ります。
買うなら断然海外ですね。管理人も海外です。
一概には言えませんが、このように100gも軽いホイールを買おうとすれば、金額的は約50,000~100,000円も跳ね上がってしまうということです。
レーシングゼロのようにアルミの最高峰ともなるとお値段は150,000前後となってしまいますが、この1,400gよりも軽いホイールとなると、もはやカーボンホイールかチューブラータイヤを選択するしかありません。
あとはお値段も200,000円を優に超えてしまいます。
たった「100g」の壁を超える金銭的負担がどれだけ大きいかが分かって頂けたかと思います。
実際に 軽さ=値段 とも言い切れないホイールメーカーの技術的な差異というのももちろんありますが、そこは好みの問題もありますので一概には言えません。
サイクリストたるもの、 好きなメーカーというのがどうしても出てくるものです。
鉄下駄はデメリットだらけ!?鉄下駄のメリットとデメリットを考えてみる
色々と書いてきましたが、鉄下駄ってデメリットばかりなのでは?と思われたかも知れません。
実は鉄下駄って、デメリットばかりではないのです。
ここでは鉄下駄のデメリットとメリットについて考えてみましょう。
鉄下駄の新たな使用用途なども見えてきますよ。
鉄下駄のデメリット
ここまで記事を読み進めてくれたのなら、もう鉄下駄のデメリットはお分かりですよね?。
まさにデメリットは 重い! の一言に尽きるのですが、 管理人が考えるデメリットはこれくらいでしょうか!?。
あとはこれと言ってデメリットは考えられません。
鉄下駄のメリット
実は鉄下駄のメリットはイッパイあるんです。
管理人が思う鉄下駄のメリットを上げてみます。
1.耐久性がある
伊達に重量があるわけではありません。
鉄下駄は読んで字の如し、鉄(アルミ)で出来ています。
一般的に同じアルミ素材で重量を軽くしようとすると、余計な部分を削ぎ落として全体的に重量を軽くしなければなりませんが、RS010は耐久性も重視してつくられているので余計な削ぎ落としはほぼ皆無です。
その分剛性も十分にあり、コストが掛かるような難しい構造でもないのです。
リアホイールの右側にはカセットスプロケットが付きますが、リアのスポーク組はもちろん左右非対称になっています。
安価なホイールだからとて手は抜きません。
右側に重量物が付属するリアホイールはバランスを取るのが難しいとされる一方、前後15,000という安価なホイールであるにも関わらず妥協なくしっかりと作り込むところ、さすが世界のSHIMANOですね。
初心者の場合、ロードバイクの扱いにまだ慣れていないがために、走行中にバランスを崩して路肩の凹凸にハマることもあるでしょう。
障害物を避けきれなくてリム打ちすることもあるでしょう。パンクは避けられないかも知れませんが、そんな時でも鉄下駄はびくともしません。もちろん限度もありますが、高級カーボンホイールなどは瞬時の衝撃に脆いので、変形や破損のリスクがつきものです。
鉄下駄なら歩道から車道に飛び降りても(多分)大丈夫(限度はありますよ笑)。
つまり、頑丈です!。
2.勤通学専用ホイールとして使う
前項の1を受けて、耐久性があるのだったら日々酷使しても何ら問題はないわけです。
例えば、レースまでの積み上げとして通勤通学でもロードバイクを使用しているのなら、そこは敢えて重いホイールで走りましょう。
通勤通学なので突然の雨など天候不良などもあるでしょう。
遅刻ギリギリの時など、普段あまり通らないラフな道をショートカットすることもあるでしょう。
高級軽量ホイールでは絶対に真似できないようなライディングでも、鉄下駄なら少々乱暴に扱っても大丈夫(限度はあります....しつこい!?笑)。
3.日本一周&ブルベ専用
ロードバイクやクロスバイクで日本一周される方々は、フレームはクロモリかアルミを選ぶそうです。
軽量で知られるカーボンフレームは重量物を載せて走る用途には向きませんし、このような用途の場合耐久性や耐衝撃性に難があります。
これはブルベ(順位に関わらす制限時間内に超長距離を日夜通して200~400km走る競技)でも同じことが言えますね。
だとするのならば、日本1周ブルベで好まれるホイールは決して軽量ホイールではないはずですよね。
いや、軽量であるほうが楽なのかも知れませんが、長距離などの用途の場合はフレームやホイール選びの際の再優先順位は耐久性です。
日本一周ライドでは、着替え用品から野宿用のテントまで積載しなければならないので、荷物の重量だけで30kmを超えるそうです。
カーボンホイールは製品によっては重量の上限が求められます。
例えば80kg、100kgまでとか。
本人の体重+荷物重量で合計80kgともなれば、本人の体重は50kg以下でなければなりません。
こんなの、鉄下駄じゃないと耐えられませんよね。
4.重いが故に
ホイールが重いということをデメリットと考えるか、メリットと考えるか。
ここはプラス思考で考えましょう。
重いんだったら練習で使ったら良いじゃないですか!。
逆転の発想です。
よく筋肉を付けるために手足に重いリストバンドとかしますよね。
ズバリ手足に負荷をかけるためです。
だったら、ヒルクライム練習の時は重いホイールで走ったらいいじゃないですか!。
本番さながらのカーボンバイク+軽量ホイールでも良いですけど、通常のワークアウトに負荷を掛けたほうが体の仕上がりも変わってくるでしょう。
普段は思い鎧を身に着けて走って、レースの時にはいざ軽いフレーム+ホイールで走るわけです。
開放感も半端ないはずです。
5.ローラー専用ホイールとして使う
これはまさに管理人の使い方です。
固定ローラーにバイクを固定して行うトレーニングでは、主にインターバルとレーニングやパワートレーニングを主とした使い方をされると思いますが、このような使い方の場合、フレームやホイールにも相応のストレスが掛かります。
特に固定ローラーの場合は、ローラーと接触するリヤタイアの摩耗を防ぐためにローラー専用タイヤを装着する場合が殆どでしょう。
ホイールからタイヤを脱着させる作業はとても面倒で日常的とは言えませんので、ローラー専用タイヤと一緒にローラー専用ホイールが必要になってきます。
そんなときに役に立つのが、サイクリストの誰しも!?が持っている(であろう)鉄下駄の登場です!・
固定ローラートレーニングを始めようとする頃にはもう中級者レベルになっているはず。
そうなるとすでにホイールの1セットや2セット新調している頃でしょう。
でも鉄下駄は絶対に手放さないほうが良いです。
とかく
と売却してしまいがちですが、実際のところホイールはあればあっただけ便利です。
様々なタイヤやスプロケをセット済の状態をいくつか作っておけば、様々なシチュエーションに応じてタイヤ交換だけで用途に応じたチョイスが瞬時に出来てしまいます。
ローラートレーニングもその一つ。
実際に ビットリアザフィーロ などのローラー専用タイヤを購入する際、ヤフオクで鉄下駄を探す人も多いんです(管理人も鉄下駄2セット目を探したほど)。
将来的にインドアでトレーニングする環境が必要になることもあるはずです。特にレースに出る(予定の)人とか。
鉄下駄は多少邪魔でも手放さないで持っておいたほうが良いですョ。
体重が重い人専用に
ダイエットのために自転車を始める人も多いと思います。
100kgを超える方の場合、残念ながら使用するバイクやホイールにはそれなりの制限があります。
バイクもホイールも適正体重というのがあります。
100kgを超えると要注意。
下手するとカーボンバイクのチョイスも難しいでしょう。
ホイールも然り。
ホイールにも適正重量は決められていて、ある規定重量以上で乗車してしまうと性能が発揮できないどころか破損してしまう恐れもあります。
体重が重い人は、まずは鉄下駄で走って食事制限とともに体重を減らす。
ある程度体重が減ってから軽量ホイールをチョイスすれば良いのでは無いでしょうか?。
予備ホイールとして
鉄下駄は予備ホイールとしても使えるので、手元に残しておくことをオススメします。
軽量ホイールを買ったとき、新たにタイヤとチューブとスプロケも新調した場合、鉄下駄だけがおもむろに残ってしまうかも知れませんが、さらに鉄下駄用にタイヤ、チューブ、スプロケを購入して組むと、あらま予備ホイールが1セット完成です。
予備ホイールは、例えばレース会場やイベント会場にロードバイクを持ち込んだ際、スタート直前に思わぬパンクなどに見舞われた時などに、タイヤが組んである予備ホイールを持っているとすぐに交換出来て出走できます。
自分が使わなくても、友達がそのような状態になったとき人助けにもなります。
いざ、というときの保険的な備えとして持っているだけでも、気持ち的にもラクです。
また、せっかく買った軽量ホイールが走行中など何らかの影響で破損してしまった場合、手元に予備ホイールがないと新たに購入し手元に届くまでの間、ロードバイクに乗れない日々が続きます。
こんなとき、せめて鉄下駄でも予備があれば、チューブ、タイヤを換装するだけで繋ぎとして使用できます。
鉄下駄卒業の目安
では、そんな鉄下駄を卒業するタイミングって一体いつなのでしょうか?。
つまり、鉄下駄から軽量ホイールに以降するタイミングです。
個人的には軽量ホイールを意識し始めたタイミングで良いと思います。
軽量ホイールを意識し始めるということは、速さに対する目覚めのタイミングでもあると思うのです。
初心者の頃はとにかく距離を走ろうとか、体力を上げないととか、筋力をあげようとか、色々と意識ばかりして筋肉痛との戦いだったと思います。
それがある程度走れるようになってくると、もっと遠くにラクして行きたいとか、レースにでてみたいと思うようになるかも知れません。
私の物欲に対する哲学ですが、
欲しいと思ったときが買いどき
です。
ロードバイク購入後にもサイコンやらジャージやら何かと買うものも多いなか、ホイールまでをも購入となると本当に財布の中身が気になるのかも知れませんが、ギャンブルなどをして一瞬で10万円が財布から消えるよりは良いお金の使い方だと思うのですよ、管理人は。
初心者にオススメのホイール
そんな初心者にオススメする最初のホイールは、やはりカンパニョーロのゾンダですね。
当記事でも登場したゾンダですが、どうしてゾンダをオススメするのでしょうか?。
ゾンダの詳しいことについては下記記事をご参照ください。
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まとめ
鉄下駄についてまとめてみました。
一見、悪いイメージが定着しがちな鉄下駄ではありますが、実は軽量ホイール換装後もなにかと用途に優れている点は理解してくださったかと思います。
他にもまだまだ使用用途はあるとは思いますが、軽量ホイール購入後も予備として大切に保管しておくことをオススメします。
それでは。