世界最大の自転車ブランド ”GIANT” の歴史
かつては台湾での自転車製造業第1位であったGIANT(以下:ジャイアント)は、2018年現在では世界最大の自転車ブランドにまで成長しました。
私の身近にもジャイアントのロードバイクに乗っている愛好家が沢山います。
ジャイアントの創業者であるキング・リュー氏は、もともとはうなぎ屋だったそうで、当初はうなぎの養殖で生計を立てていたそうです。
1971年、今から約45年前の自然災害でその養殖場が壊滅的な被害に遭い、その起死回生の生計を立てる職業として業態転換をしたのが自転車の部品製造業でした。当初は赤字続きで何度か倒産の危機にも直面しますが、度々その危機を乗り越えます。その後、欧米からの自転車製造のOEM・ODMを請け負うようになり、次第に自社の自転車製造に関わる技術力を上げていったジャイアントは、やがて自社ブランドである現在の”GIANT”を立ち上げ、みるみる台湾第1位の自転車製造業に成り上がりました。
1980年代後半は、現在の台湾の自転車工業の転換点でもありました。1986年のプラザ合意までは、実は日本のほうが自転車製造に関しては大きなシェアを占めてたいたようですが、プラザ合意後はジャイアントをはじめとする台湾メーカーが自転車輸出において世界最大のシェアを締めるまでに至りました。
その後もジャイアントは、ヨーロッパー、欧米を中心に自社ブランドの自転車輸出に特化し、1989年には日本法人も設立。後に日本の主要都市にはジャイアントストアもオープンすることによって、ジャイアントのバイクが国内でも手軽に入手できるようになったことでコアなファンを獲得するようにもなりました。
ジャイアントの2018年にはドイツに本拠地を置く自転車ロードレースのUCIワールドチームであるチーム・サンウェブに機材を提供し、ツール・ド・フランスの舞台でも活躍しています。その中で、サンウェブのトム・デュランはジャイアントの4種のバイクをステージによって使い分け、ツール総合2位という輝かしい成績を残す歴史的快挙を成し遂げています。
以前から高品質低価格で評判も高くファンも多かったGIANT”のバイクの性能を改めて世界に知らしめる機会となったことは言うまでもありません。
ジャイアントの技術力
欧米の自転車メーカーからのOEM製造を手がけ大量生産を請け負うようになったジャイアントは、自社の実力と技術をつけていきます。
同社はアルミフレームの製造ラインでの量産を世界で初めて成功した事でも知られています。アーク溶接の1種であるTIG溶接技術においては、今や世界一の技術力を持っています。また、同様にフレーム製造技術に長けている同社ならではの功績として、当時まだ高級品で一般のライダーの手に届かなかったカーボンフレームを安価な価格で市場に送り出し、カーボンフレームの市場価格を引き下げたメーカーでもあります。
GIANTと言えばスローピングフレーム。
ロードバイクのフレームにはトップチューブが地面と平行に並ぶホリゾンタルフレームと、ハンドルからサドルにかけて下方に下がるスローピングの2種に分けられますが、この型破りなスローピングを開発したのもジャイアントです。それからというもの、各メーカーもこぞってこのスローピングのデザインを取り入れるようにまでなりました。
ジャイアンとと言えばアルミフレームですが、まだカーボン全盛では無かった時代にも軽量且つ高性能なアルミフレームでロードバイクやマウンテンバイクを次々と世に送り出しました。その価格はヨーロッパーや欧米の一流メーカの約半分の値段であるにも関わらず、フレームの性能はそれを上回っていたことから、安価で且つ性能のよいフレームまたは完成車を市場に送り出した世界的にも例のないメーカなのです。
事実、高級コンポ、例えばSHIMANOのアルテグラが搭載されるクラスのロードバイクを他社と比較してみると、とんでもない値段の開きに驚きを隠せずには居られません。2ランクも他ブランドよりも価格の低い完成車であるのに、コンポは高級なコンポが付いて販売されているところをみると、一般ユーザーがジャイアントを抜きにしてロードバイク選びをするはずがありません。
ジャイアントという企業がこの世に存在していなければ、今のロードバイク界の技術は10年遅れていたのではないか?と個人的には感じています。
ジャイアントのフラッグシップモデル TCR ADVANCED SL 1 ¥630,000-(税抜)
ツールでチーム・サンウェブが使用していた憧れのバイク TCR ADVANCED SL 1。コテコテのレース専用車両と思いきやグランツールからレースに至るまで様々なシチュエーションで戦えるバイクです。史上最高レベルの重量比に対する剛性と操作性に合わせて快適性を両立しています。完成車重量は740mmフレームで6.9kgという驚きの数値。
特筆すべきはこの価格。税抜きで\630,000-。
脅威の完成車重量にメインコンポにはSHIMANO R8050系アルテグラDi2を装備。ホイールは同社ジャイアント製 SLR1 42 Carbon。
そして驚くことに、ジャイアントの自社開発商品であるパワーメーター Power Pro が標準装備されます。将来的には単体販売もされるとのこの自社開発パワーメーター。2019年はジャイアントの完成車でのみ史上に出回るとの事ですが、パワーメーターに8050系のアルテグラDi2が付いて、この最軽量カーボンフーレームで完成車価格が\630,000-とは!?。
他のロードバイクメーカであれば、間違いなく\1,000,000-を軽く超えるであろう脅威のスペックですね。パワーメーターだけでも普通に10万超えます。
パワーメーターは現在、パイオニアやStagesなどのメーカーが一番安くでも左右セットで12万前後と、まだまだ価格もこなれていない感がハンパないですが、ジャイアントの実勢価格はその当たりになりそうな話です。
初心者にもオススメ TCR ADVANCED 1 SE ¥280,000-(税抜)
TCR ADVANCED 1 SE は上位グレードと同等の高剛性と軽量フレームを装備するカーボンフレームに、OVERDRIVEアルミフォークで剛性を最適化するバイクです。
高コスパのジャイアントですから、この30万以内の価格でありながら自社開発のパワーメーター Power Pro が装備されます。コンポーネントはSHIMANO R8000系アルテグラ、ホイールはGIANTのGIANT P-R2 DBL が装備されます。
プロユースなグランフォンドなら DEFY ADVANCED PRO 0 ¥600,000-(税抜)
デファイ アドバンス プロはロングラードなどのグランツールに特化した長距離専用バイクのパイオニア的な存在です。
先代から定評のあったフレームを流行の32Cタイヤ対応にまで拡張し、グラベルロードとしての需要にも対応します。
快適性に重点を置いて設計されたジオメトリ。グランフォンド向け設計でありながら完成車重量は驚きの7.8kgと、ハイエンドレース仕様車も顔負けのスペックを誇ります。そして、グランフォンドの定番となりつつある全天候型のディスクブレークを装備。旅先での不意な天候不良にも対応出来ます。ホイールは同社のSLR1 DISC仕様のカーボンホイールを装備。コンポーネントは手堅くSHIMANOの8050系アルテグラDi2の快適装備。
もちろん、2019年モデルの発売に伴いジャイアントが提唱している「全てのライダーにパワーメーターを」のコンセプトに基づいて、同社開発のパワーメーター POWER PRO も装備されます。
まとめ
「すべてのライダーにパワーメーターを」というコンセプトがスゴいですね。
そのためにパワーメーターを自社開発をするあたり、さすがデジタル機器に強い台湾のメーカーならではといったところです。自社開発することで外注による仕入れコスト問題をクリア出来るので、自社の完成車にもリーズナブルにパワーメーターを装備することができます。事実、2019年モデルの20万クラスの完成車にも搭載されるパワーメーターですから、ライダーはサイコンさえ用意すれば余計なパワーメーターの出費を抑え新たなパーツに投資するという選択も生まれるわけです。
まさに世界最大かつ最強のコスパを誇るジャイアントだからこそ出来るお家芸ではないでしょうか?。
まさにトレーニング三昧のサイクリストで、これからNEWバイクを新調しようかと検討中のライダーにとっては、GIANTのバイクという選択肢が増える事は必須となりそうな2019年の展望すら見込めますね。
やはりバイク界のトレンドを作るのはGIANTであって、GIANTが世界の自転車市場の価格破壊をしてくれる事に期待しつつ、2019年もますます目が離せないGIANTのに注目したいところです。