ロードバイク乗りにとっての永遠のテーマとも言える問題。
それはもしかしたら、リアのスプロケットの選択かも知れません。
初心者の方の場合を考えると、最初に買ったロードバイクの完成車に付いてきたスプロケを使い続ける期間が非常に長いと思います。
しかしながら、遅かれ早かれリヤのスプロケの存在とともに歯数の型式や違いなどを意識するようになると思います。
今回は、そんなロードバイクのカセットスプロケットについて考察してみたいと思います。
目次
リアスプロケットとは?
コンポーネントはShimanoの105という事で話を進めさせて頂きます。
コンポーネントについての詳細はこちらの記事を参照して下さい。
2019年現在のロードバイク完成車に付いているリアスプロケットは、基本コンポーネントがR7000系105の場合、11速(11枚のギアがある)となっています。
スプロケットって、これです↓
リヤディレーラーを介してギアを変える事でペダリングが軽くなったり重くなったりします。
リアスプロケットに関しては、歯数の多いギアにチェーンが掛かっているとペダルは軽くなり、逆に歯数の少ない外側のギアにチェーンが掛かると重くなります。
平坦や坂道、走るシチュエーションによって切り替えるのはご承知の通り。
そんなスプロケットですが、同じ105でも種類がいくつかあります。
私を含めたホビーライダーの場合、あらゆるシーンで少しでも脚に負担を掛けずに走りたいと思うわけです。
ロングライドだったらゴールまで脚の売り切れを起こさないように走りきりたいと願うところだし、ヒルクライムレースだったら少しでもいいタイムでゴールしたいと思うところですが、そのためにはコースに合ったスプロケの選択と、状況に応じて適宜ギアの切り替えをしつつ脚に負担を掛けないギアチェンジのテクニックも必要となってきます。
定番は11-28T
現在の完成車についてくるR7000系105のカセットは、大概の場合11-28Tという型番のものが標準で付いてきます。
(メーカーやモデルによっても違いますので、ご自身のロードバイクのスプロケは自分で確認してみて下さいね。
この数字は、それぞれギアの歯の枚数を表しています。
11-28Tは11枚から28枚のギアの組み合わせて構成されているカセットスプロケットで、11.12.13.14.15.17.19.21.23.25.28の11枚のギア(11速)で構成されます。
先述した通り、数字が大きくなるとペダルが軽くなります。
この11-28Tが完成車についてくる理由は、もはや万能とも言えるギア構成であるからに他なりません。
軽いLOWの側のギアは28枚です。28枚もあると余程の激坂でも無い限り、大概のコースであれば難なく登り切れてしまいます。個人スキルにもよりますが、一般的なスキルのサイクリストであれば、勾配15%程度までの坂であれば28枚のギアでも難なく登れるのでは無いか?と思います。
但し、これにはフロントのギア比も関係してきますが、最近の主流は50-34のコンパクトクランクとなっていますので、フロントのギア比は50-34Tという前提でご理解ください。
万能であるという所以は、下りや平坦地を巡航で走る場合に使うであろう11~15付近のギアからヒルクライム用の25~28までのギアがオールインワンされているので、”ギアレンジがとても広” いという事です。
しかも、11から15までのギアはクロスしています。クロスというのは1番違いでギアが並ぶ(11.12.13.14.15)事を意味します。ギアの数字が一番違いであれば変速したときのショックも少ないので、”ギア比がクロスしている”、またはクロスレシオなんていう言い方もされます。
また、15から25までは2番違い、25から最終の28に至っては3番違いですが、これらは逆に ”ワイドレシオ” と読んでいます。
ワイドレシオになればなるほと変速のショックは大きくなりますが、ギアレンジは幅広くなりますので、これらはメリットにもデメリットにもなり得ます。
事実、ヒルクライム中に25のギアから28のギアに上げた時にスプロケから悲鳴らしきガタン!という音が聞こえる事がありませんか?。ヒルクライム中はペダルにも力(トルク)が掛かっているので、スプロケにも常にペダルからの動力、いわゆるトルクが掛かっている状態です。そのようなギアにストレスが掛かっているタイミングで25から28にギアを変えてしまうとギア比の差によって噛み合わせが悪いため、結果的に機械的な金属音が山にこだまするときがあります....笑。
私も愛用している11-28Tですが、このロー側の25-28の3枚の差が何とかならんか.....といつも考えてしまいます。
11-28Tは初心者用のスプロケとかよく言われますが、果たしてそうでしょうか?。
常用で使用することのない11-15のギアはクロスであって、ヒルクライムで多様するであろう歯数の多いギアはワイドです。
初心者が11-15の重いギアを多様するというのは少々考えづらいのです。いや、初心者どころか上級者であっても余程のスプリンターで平坦地をディープホイールで時速40km/h以上の巡航で走り切る脚の持ち主でも無い限り、11なんて殆ど使う事がありません。
だから、初心者用と謳うのであれば、軽い側のギアを充実させるほうがよっぽど初心者向きであると感がえます。
例えば、11.14.17.19.21.23.24.25.26.27.28など、どうでしょうか?。
重いギアなんで殆ど開店休業状態で稼働していません。強いて言えばダウンヒルで先行車に付いていくときに本気を出すときぐらいです。年に数回もありません。
だったら常用域の軽いギアをクロスさせたほうが最適なギアの選択肢も増えるし、初心者の苦手とするヒルクライムでも十分にスプロケの性能と恩恵を受ける事が出来るのでは?と個人的には考えます。
しかし、逆の発想から言えば、「最後の”28T”はおまけですよ~」という考え方のほうが無難なのかも知れませんね。
最終ギアは25Tという認識でいて、「ヒルクライムでどうしても辛いときに緊急用として”28”を使って下さい、そのための28Tを特別枠でご用意しております!」
これなら25から3番飛びで28Tがあっても不思議ではありませんね。多少、Shimanoに対してのイメージが変わるかも知れません。何を隠そう、この私が激坂で何度も28Tに助けられてきたので....笑。
まさに、Shimanoからの贈り物なのかも知れませんね.....。
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11-30Tと11-32Tこそが初心者用なの?
11-30Tのギア構成は、11.12.13.14.15.17.19.21.24.27.30T。
11-32Tのギア構成は、11.12.13.14.16.18.20.22.25.28.32T。
11-28Tに比べて、最終のギアがそれそれ30と32まで歯数が多くなっています。
この28Tと30T(32T)の差というのは実はとても顕著で、ヒルクライムレースなどの場面で勾配13~15%の激坂をこっちが28Tでえっこら登っている時に、その隣を涼しげな表情でクルクルとペダルを回しながら追い越していく連中は、大概は(絶対に!)30Tもしくは32Tの持ち主でございます。
ギア構成を見てみても、11-28Tと11-30T(11-32T)の大きな差は、やはり殆どは最終のギアの差です。
軽ければ軽いほどヒルクライムは楽です。
楽ですけれど、基本的にリアのスプロケの歯数が多くなればなるほどロードバイクは前に進まなくなります。つまり慣性を失います。
上り坂で慣性を失うということはつまり、失速するということです。この失速を起こさないためにペダルをそれ以上回して高ケイデンスを維持しようとする訳です。
初心者も上級者も基本的には、高ケイデンスで軽いペダルでクルクルと回したほうが脚に負担が掛からないと言われます。勿論、それを意識してトレーニングするのですが、軽いギアになればなるほど坂道は楽です。しかし、やはりどこかで自分の限度を決めておかないと返ってタイムが掛かってしまうことも考えられます。
高ケイデンスで走ったほうが楽で結果的に早い人と、高ケイデンスまで行かなくともそれなりのケイデンスでシッティング(座ってペダリング)で多少重いギアを踏み込んで慣性を付けて登ったほうが楽な人もいます。
だから、初心者だからとて、全ての人が軽いギア軽いスプロケを選択するのは少々危険な気がするのです。
現在のR7000系105のラインナップでは、最高で11-32のスプロケとなりますが、軽いギアが好みであるのならば、この先34T36Tが出た場合それらを買い足して行くのか?という事です。
何を選ぼうが自由ですが、自分の限界のギアをある程度決めておかないと、ロードバイクの本来の醍醐味である脚力筋力の向上という側面から逃げてしまっているかのようにも思えるのです。
「だから11-28Tでやめとけ!」とかいう話ではないですので誤解なきよう。
近日出場予定のヒルクライムレースなどのコースを試走した際など、実際にコースを走った事で分かり得るコースの獲得標高や平均勾配、最大勾配など、コースに合わせたスプロケがチョイス出来れば有利にレースを展開することが出来るかも知れません。
アマチュアがそこまで綿密にコースに合わせてスプロケを交換するような真似までしなければ無いのか?と言われると困りますが、現在の自分の脚と11-28Tのスプロケではどうしても攻略出来ないような激坂がコース上にあるのであれば、スプロケ交換も視野に入って来るのでは?と思います。
それからトレーニングを重ねて、11-28Tでもクリア出来そうな兆しが見えたら元に戻したらいいだけです。
端的に言えば、常に軽いギアばかりを追い求めるのではなく、
「自分の脚質やコースに合った、
効率的且つ速く走れる最適なギアを
チョイスするのが正解」
という事になるのだと思います。
究極のヒルクライム専用スプロケ つまり、LOW側をクロスさせて欲しいわけよ!
先述しましたが、11-28Tが初心者向けであると言われる一方で私からの提言、何故軽いロー側のギアはクロスじゃないのか?。
掻い摘んで言うと、初心者用というよりはヒルクライム向け....というかヒルクライム専用のスプロケがあっても良いのではないか?と思うのです。
確かに11-30Tとか11-32Tというスプロケはヒルクライム専用になるんでしょうけれど、単に軽ければいいという選択肢ではなくて、必然的にヒルクライムでの常用域となるであろうロー側をクロスさせるべきだと思うのです。
例えば11-28Tを例としてみると、(11.14.17.19.21.23.24.25.26.27.28)
11速の場合、クライマーにとっての理想のスプロケの番数はやはりこれ↓だと思うんです。
ちょうど太字の部分であるロー側をクロスさせて欲しい....。
ヒルクライム専用という用途であれば、常用域は当然ながらLOW側のはず。だって坂登るんですから!。
何度も言いますが、11なんて殆ど使わない。11を使うシチュエーションとしては恐らく、ダウンヒルで熊に襲われそうになったときぐらいかと。
RECONという選択肢
それがですね、いろいろネットで検索していくうちに、実はあったのです!夢のようなスプロケが....私も知りませんでした。
RECON(レーコン)と言われるメーカーのスプロケです。
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上記プライスの通りで、お値段はお世辞にも可愛いとは言えません。
これってデュラエース並の値段ですね.....。
アルミ削りだしの1個もののスプロケです。
Shimanoやカンパのようにスプロケが一枚一枚重なっている訳ではありません。その恩恵もあって重量は驚く事なかれ、アルテグラの半分以下です。アルテのスプロケが250g程度だったとすると、上記写真の12-28Tのレーコンのスプロケだと、僅か90g程度です。
値段や軽さも然ることながら、このレーコンの一番の特徴はロー側ギアがクロスしていることです。
たとえば、上記の12-28Tのギア構成では、(12.14.16.18.20.22.24.25.26.27.28)とロー側がクロスしているので、ヒルクライム時には最適なギアのチョイスが可能となります。
しかもクロスですから、登りでスプロケにトルクが掛かっている状態でも極めて軽やかなギアチェンジか可能と思われます。あくまでも理論上は....です。使った事が無いので無責任な事は言えませんのであしからず。
アルミ削り出しで強度的にも問題はないようですが、やはりハイ側(トップ側)のギアについては鉄製なそうです。やはり力が掛かる部分のギアだけはアルミという訳にはいかなかったのでしょうか?。
軽さ、ロー側のクロスといい、まさにヒルクライム専用のスプロケと言っても過言ではないですね。
お値段がもうちょっと可愛いのであれば考えたかも知れませんが....。
しかし、何故Shimanoはこの仕様で出してくれないのでしょう?。きっと需要はあると思うのですが...。
完成車に付属のスプロケはあくまでも11-28Tでも良いので、せめて後々のカスタマイズ用としてLOWクロスバージョンも出して頂きたいものです。
スプロケの交換を意識するタイミングとは?
スプロケって不満さえなければまず交換することも無いパーツでもあります。
すり減って頻繁に交換するなようなパーツでもないです。余程走り込んでいる人でもあまり聞きません。
しかしながら、交換や買い足しをする事も将来的には起こります。
それはどんなときでしょうか?。
ホイールを新調したとき
完成車に付いてきた鉄下駄から晴れて軽量ホイールを購入したとき。
完成車付属のタイヤとチューブ、スプロケをそのまま新ホイールに移植する場合は別ですが、せっかく軽量ホイールを買ったのなら予算が許すのであれば、是非タイヤ、ホイール、チューブも新調したいところです。
そこに来て悩ましい問題が出てきます。スプロケをどうするか?です。
R7000系105であれば、大手通販サイトでは実勢価格5,000円前後、R8000系アルテグラでも7,000円前後です。
完成車に11-28Tが付いていてここまでロードバイクを乗り倒して来たのなら、ちょっと違う構成のスプロケも試してみたいと思うはずです。
スプロケを新調するときの目安としては、その組み込むホイールを主に使用するシチュエーションに合わせてチョイスすれば失敗が少ないのでは?と思います。
例えば、50mmハイトのカーボンディープホイールを買ってブルベやロングライド向きで使いたいのなら、11-25Tや14-28Tもありだと思います。
逆にZONDAなどのローハイトのホイールでヒルクライムメインで使用するのなら、11-30Tや11-32Tなどのヒルクライム用の軽いギア構成のスプロケでも良いでしょう。
ここでミスチョイスしたとしても、スプロケ交換なんて慣れれば5分程度で出来ますので...笑。
個人的な意見ですが、ホイールを新調したときは、是非スプロケも別で揃える事をおすすめします。お金は掛かりますけど。
万がいち、レース当日の朝にレース用のホイールに何かあったとしても予備のパーツとしてホイールの交換のみで出走出来てしまいますし、練習時にも走るコースによってホイールを使い分けるということが瞬時に出来てしまいます。
出費を抑えたいのであれば、ヤフオクなどで使用済の安価なスプロケを狙うのもありです。スプロケはそれほど使用感がわかりにくいパーツですので、他のパーツに比べても中古的な違和感は少ないと思います。
別の構成のスプロケを試してみたいとき
完成車が11-28Tだとして、ホイールの追加購入も予定には無いけれど、11-28T以外のスプロケも試してみたいと思うのであれば、もしかしたら脚に自信が付いてきたのでは無いでしょうか?。
14-28Tや11-25Tも視野に入りますね。
11-28Tは既にあるのですから、別の構成のスプロケをチョイスして乗り比べるのも楽しいかも知れません。
やはり実際に自分のバイクで乗ってみないと分からない部分ってありますから、11-28Tが2セットよりは冒険してみるのも楽しいのでは?と思います。
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まとめ
スプロケは地獄(スプロケ沼)にハマればハマるほどアレやこれや試してみたくなるものなんですよね。
管理人はなんだかんだ、もう3回も買い替えました。
現在私はホイールが3セットあるのですが、R7000系の11-28TとR8000系の11-28Tと、とてもつまらないチョイスにしてしまって後悔しています。
確かに11-28Tを選んでおけば無難かな.....という安心感みたいなものはあんですけど、やはりいろいろと試してみたいという冒険心も忘れてはいけませんね。
で、今現在、2019年のシーズン開幕に向けて11-25Tをチョイスしてみようかと思っています。
最終極論でまとめますと、
色々と書きましたが、何だかんだ言って11-28Tは決して初心者用のギア構成ではなく、あらゆる場面やコースに対応出来る万能なスプロケなんだなぁ~って思います。
あの新城幸也選手も、お気に入りのスプロケは11-28Tだそうですよ。まぁ、これもコースによるとは思いますが....。
スプロケ地獄にハマっても結局レース直前になると11-28Tをチョイスしてしまうあたり、自分もかなり11-28Tに絶大な信頼を寄せているところがあります(笑)。
皆さんもこれを期に、スプロケの見直しをしてみませんか?。