出会いは高校3年生
自分がロードバイクと初めて出会ったのが、高校3年生の冬でした。
高校3年の冬と言えば、間もなく卒業を迎える頃です。
田舎の高校でしたので、就職組はみんなこぞって普通免許取得のために自動車学校に通っている時期。
私は大のクルマ好きでもあるのですが、専門学校に進学が決まっていたので校則によって教習所には通えませんでした。
自宅から通学していた工業高校までの道のりは約8km。往復で16km。
結構な距離ですが、自転車も大好きだった私は、当然ながら3年間ほぼマウンテンバイクで通っていました。
当時は地元の自転車チームにも所属していて、MTBやBMXの耐久レースなどにも出ていました。詮草レース程度の規模のレースですが.....。
チームの先輩や仲間の殆どはMTBとロードバイクの両方を持っていたので、近隣で開催するレースのカテゴリーによってそれぞれ自転車を使い分けてレースに参加していました。
当時の私はマウンテンバイクしか持っていなかったので、ロードバイクのレースには出ることが出来ません。
ちょっとばかりコンプレックスを感じていましたね。
卒業間近の3年生の冬、クラス内は教習所やクルマの話で常に持ちきりです。
あろうことか担任まで....。
まぁ、工業高校でしたからね、担任もちょっとイカれてました.....笑。
自分は冬休みにガソリンスタンドでアルバイトすることが決まっていて、その稼ぎで密かにロードバイクを購入する計画を立てます。
勿論、誰にも言ってませんでした。
ガソリンスタンドで冬休みの全ての期間、年末年始を含めて一日も休まずに働き、なんとか16万の給料を稼ぎました。
早速、それで最寄りの自転車屋さんの店内に売っていた憧れのロードバイクを買いました。
今はもう実在しませんが、カワムラサイクルの高級自転車ブランド「NISHIKI Finisher」というロードバイクです。
買った当時はもう、嬉しくてうれしくて....。
今から25年前になりますが、当時でも車両本体で16万ほどしました。
ビンディングペダルとシューズ、ヘルメットまで買ったので、結局は20万オーバー。
バイト代だけでは捻出出来ず、足りない分はお年玉からの捻出となりました。
冬休みのバイト代とお年玉を全額投資しての人生初の高い買い物。
お陰で無一文になりましたが、親は何も言いませんでした。
アルバイトを一日も休まずに通っていたのを知っていたので、そこまで欲しいんだったら....という気持ちで見守ってくれたのでしょうか?。
とにかくお金には厳しい家庭でしたので。
しかしながら、せっかくロードバイクを手に入れたはいいものの、冬休み明けのシーズンオフ中ですからロードバイクを手に入れたからとてレースなんぞ近日中に開催される事などありません。
まぁ、冬にロードバイクを買う人もさすがに居ないでしょうね.....笑。
だから学校に乗って行きたくてウズウズしていました。
かと言って、この卒業間近に20万も出して自転車なんぞを買ったなんて同級生にバレたりしたら、何を言われるかなんて想像は見えに見えています。
「ロードバイクは学校には絶対に乗っていかない!」
そう決めていたのにも関わらず、居ても立っても居られなかった自分はある日、とうとうロードバイクで通学します。
ある程度練習で乗ってはいましたが、MTBで3年間通い慣れた通学路を新車のロードバイクで疾走しながら通学する。
あの時の感動は今でも覚えています。
マウンテンバイクで8kmの道のりを15分掛けて登校していたのに、ロードバイクでは9分で到着してしまいました。
スピードメーターにはMAXの最高速度が50km!と。
長い下り坂がありましたからね.....。
改めてロードバイクの速さに感動を覚えます。
その間、追い越した同級生や下級生の自転車は100台を超えていました....笑。
当たり前ですよね。
F1が軽自動車を追い越すようなものです。
しかし、学校に着いてからは状況が一変します。
まず、クラスメイトにバレます(あれだけ追い越してきたんだから当たり前だ....)。
しかも、自転車置場でも。
私が自転車を停める場所は決まっていたので、そこにあるはずのMTBがピカピカのロードバイクに変わっていたのですから、そりゃバレるわ。
教室に入るや否や、みんなにヤジられます。
まぁ、こうなりますよね~。
勿論、こんな会話では済まなかったのですが、廻りにも罵倒されるような始末。
ただの自転車バカだと思われたのでしょう。
いや、3年間使ったMTBも結構カスタマイズしてたんで、そう思われていて間違いはないです。
そんな高校の時に買った思い出のロードバイクを今でも乗っています。
実は高校卒業後に1度だけレースに出て入賞もしているのですが、社会人になってからのその後は、中免免許を取ったりクルマを買ったりで、すっかり自転車とは疎遠になっていました。
あれだけ好きだった自転車だったのに、一切乗らなくなること25年。
実家の倉庫の天井から吊るしてあったので、状態はとても良かったです。
最近になって急に自転車に乗りたくなって、当時お世話になっていた自転車やさんにロードバイクを持っていき、レストアしたいとの事を告げます。
この自転車やさん、県内でも数少ない700cを扱う知る人ぞ知るロードバイクの専門店。
何せ、ご主人が60歳を超えた今もま現役でレースに出ているのです。
その店主ともここ数十年すっかり疎遠になっていました。
「またロードバイクに乗りたくなった....」
と久々に店を訪れて話すと、とても嬉しそうに迎え入れてくれました。
「また一緒に走れるな!」
勿論、そのつもりでのレストアもあります。
結局、20年も乗っていなかった訳ですから、フレーム以外オール交換です。
ホイール、タイヤ、サドル、チェーン、ハブ、ボトムブラケット、ビンディング、そしてディレーラー。
総額12万の出費です......。
16万で買った自転車に12万のレストア。
これで30万投資したことになります。
25年前はSTIが普及し始めた頃だったので、STI仕様完成車は値段も高く手が出ませんでした。
勿論、私が購入したNISHIKIのFinisherというモデルは、ダウンチューブにダブルレバー式の当時としては普通の仕様でしたので、STI仕様なんて高嶺の花でした。
それもその筈、16万のロードバイクを買うのが精一杯なので。
でも、一応、オール105仕様でしたよ!。
今、このご時世でレストアするのにこれは無いだろうと思い、コンポ類はSHIMANOの105のランクそのままで、勿論STIにて注文してもらいました。
但し、クランクとフロントスプロケは調子に乗ってアルテグラにしてみました.....笑。
当時は楕円のスプロケが流行りでしたが、「最近は真円が主流だよ!」と店主に言われたので、「これはマズイ」と思い、クランクは後日急遽注文してもらいました。
部品をオール交換した後のバイクは、高校当時購入した時と同じくらい立派に見えました。
それもその筈、フレームには殆ど目立った傷も無くて綺麗なままでした。
これにはさすがのご主人もビックリでした。
「こんなに綺麗に25年も乗っている人も珍しいぞ!!」
と言われましたが、当然といえば当然です。
だって、高校卒業後、最初で最後のレースに出たっきり25年間乗ってなかったんですから.....笑。
総走行距離は恐らく500km程度かと。
卒業間近に購入して当時は確かに同級生にバカにされましたよ。
でも、今でもこうして当時のロードバイクに乗っている。
これを当時のクラスメイトが見たら知ったらどう思うか!?って考えます。
やはり、高いお金を出して買ったものって大事に使えば一生モノなんだなって思います。
自転車も1万で買えるものや100万を買える本格ロードバイクもありますけど、値段が高いってだてじゃないんでしょうね。
モノがしっかりしていれば、パーツの交換のみで一生乗れるんですから。
これは自転車で言うところのフレームです。クロモリですけど何か!?。
今年、レースに復帰する予定です。
25年前に一度きりレースにだただけで復帰というのもおかしいですけれど.....。
25年前のレトロなロードバイクで最近流行りのTREKやピナレロ、スペシャの60万くらいするフルカーボンのロードバイクをぶっちぎってやりますよ!....笑。